相続税
相続税 長崎のほとんどの方は0円です。
長崎県内での相続で、相続税が発生するのは100件に1~2件位です。
どれだけ相続税がくるのか心配される方も多いのではないでしょうか?確かに巨額の遺産がある場合は、驚くほどの相続税を課されますが、一般庶民には相続税はほとんど課税されていないのが現状で、長崎県内では99%の方は、全く無縁の税金です。(今後、改正相続税法施行後は、状況が変わってきます。)
現在の相続税
5000万円に法定相続人の人数に1000万円を掛けて求めた金額を加算した金額(基礎控除額)を越えた部分に課税されます。
例えば、遺産総額(相続財産)が1億円で相続人が3人の場合の基礎控除額は8000万円となります。
基礎控除額=5000万円+(1000万円×3人)=8000万円
この場合の課税対象となる金額は、
1億円-8000万円=2000万円となり、言い換えれば8000万円以下の遺産であれば、相続税は0円ということです。
改正相続税法施行後
平成27年1月1日以降に亡くなられた場合から適用されます。
3000万円に法定相続人の人数に600万円を掛けて求めた金額を加算した金額(基礎控除額)を越えた部分に課税されます。
上記と同じ遺産総額(相続財産)が1億円で相続人が3人の場合で計算すると
基礎控除額=3000万円+(600万円×3人)=4800万円
この場合の課税対象となる金額は、
1億円-4800万円=5200万円となり、現在は8000万円以下の遺産であれば、相続税は0円ですが、5200万円を超えると課税の対象になってきます。
ただ、配偶者には相続税軽減措置があり、法定相続分(その額より1億6000万円の方が大きい場合は1億6000万円)までは非課税となります。
したがって、現在は相続税を支払う必要がない人がほとんどだと思いますが、巨額の資産をお持ちの方や改正法施行後は相続税が課税されそうな方は、今のうちから相続税の対策を講じる必要があります。
相続税の申告期限
相続税を申告する必要のある場合は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内に被相続人(亡くなった方)の住所地の所轄税務署に申告しなければなりません。
相続税の申告をしなかった場合
- 相続税を申告する必要のある方が、申告をしなかった場合、税務署から通知があり、徴収額に対し無申告加算税(15%)が課せられます。
- 申告を忘れていた場合で税務署も気付かなかった場合は、通常の場合5年で時効消滅します。ただし、不正があった場合などの消滅時効は7年です。
これらの期間が過ぎれば、納税義務は消滅しますが、相続税はきちんと納めましょう。
相続税の計算方法
相続税の計算 Step 1
まず、正味の遺産総額の算出をします。
正味の遺産総額 = 死亡時の全財産 + (生命保険金のうち500万円×法定相続人の数を超える額) + (死亡退職金のうち500万円×法定相続人の数を超える額) + 相続時精算課税の適用を受ける贈与財産 + 相続開始前3年以内の贈与財産 - 債務 - 葬儀費用 - 墓・仏壇・祭具 - 国・地方公共団体・公益法人などへの寄付
相続税の計算 Step 2
次に正味の遺産総額より基礎控除額を差引いた金額が課税対象遺産総額になります。
相続税の計算 Step 3
上記の課税対象遺産総額を、民法上の法定相続分に応じて按分します。
(遺産分割の方法や相続放棄などに関係なく、民法の割合で按分します。)
相続税の計算 Step 4
この按分により各相続人ごとの法定相続財産額を割り出し、各人ごとの税額を計算し合計したものが、全体の相続税額です。
- (相続税の税率表)
課税標準 税率 控除額 1000万円以下 10% - 3000万円以下 15% 50万円 5000万円以下 20% 200万円 1億円以下 30% 700万円 3億円以下 40% 1700万円 3億円超 50% 4700万円
相続税の計算 Step 5
全体の相続税額を実際に分割取得した割合で按分した額が、各人の相続税負担額となります。
実際にどのような分割をするかは別として、法定相続分での税額の合計額を全体に掛かる相続税の総額とし、その総額を実際の取り分により按分し負担します。これは、相続税を安くする分割方法を選択させないためです。
ですから、配偶者軽減処置などを考慮するほかには、生前より対策を講じておくことが重要です。
相続税の配偶者控除
- 配偶者には夫婦共同で財産を築き上げてきたことや今後の生活資金などを考慮され、1億6000万円の配偶者控除があり、更に1億6000万円を超えた場合であっても法定相続分以内の相続であれば非課税となります。分かりやすくいうと次のようになります。
- 例1
配偶者が遺産の全額1億5000万円を相続した場合。
本来相続税が課税されるような相続であっても遺産全てを配偶者が相続し、それが1億6000万円以内であれば相続税は課税されないということです。 - 例2
配偶者が10億円相続したが、法定相続分以内である場合は配偶者に対しては相続税の課税はありません。(他の相続人が相続した部分に関しては課税がされます。)
- 例1
- 遺産分割協議書や戸籍などを添付した上で期間内に申告をしないと認められませんので注意が必要です。
遺産の評価算出法
不動産の評価算出は非常に複雑です。税理士でも相続税に精通した税理士は多くはありません。(特に長崎県の場合は、相続税を扱うことが少ない為)
1.宅地その他の土地の評価額
路線化方式と倍率方式があり、どちらで計算するかは税務署で確認する必要があります。(現在はネットでも確認できます。)
死亡前3年以内に取得した土地建物は、原則は取得価格ですが、相続税評価額による場合があります。
土地の形状により減額評価の特例があります。
小規模宅地の場合、200㎡以下の部分については、居住用・事業用を問わず一定の要件を満たせば80%それ以外の場合は50%減額して計算します。
2.建物の評価額
市町村の固定資産課税台帳の評価額によります。
3.株式の評価額
上場株は、取引所の時価。未上場株は特殊な評価方法がございます。
4.その他の評価額
借地権・貸地権は、6~7割で加算または控除します。
借家・貸家の評価は、7割程度が一般的です。
農地山林などは特殊な評価方法があります。
贈与税を利用した節税法
贈与税とは?
贈与税は個人から個人への無償譲渡によって課税される税金です。
法人から個人への無償譲渡には、貰った個人に一時所得としての所得税が課税。
逆に個人から法人への無償譲渡には、その法人に法人税が課税されます。
相続や遺言で財産を貰ったとき(遺贈)には相続税が課税されますので、生前に財産を贈与して、相続税逃れをさせないための税金が贈与税と考えていいでしょう。更に、贈与税逃れと思われる著しく安い値段での売買にも一般的な価格との差額を贈与とみなし贈与税を課税される場合があります。まったく税務当局は抜け目が無いというか恐ろしいところです。
ただ、贈与税にも1年に110万円までは課税されない基礎控除があります。
親から子や孫に1年に110万円を贈与しても、この場合は贈与税がかかりません。
この場合の110万円という金額は、誰からもらったかではなく、その人が1年間に贈与を受けた金額の合計です。
例えば、父から110万円、母から50万円もらったのであれば、合計160万円もらったことになるので基礎控除額の110万円を超える50万円については贈与税の対象になります。
贈与税の計算法
贈与税の計算は、まず、その年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与によりもらった財産の価額を合計し、続いて、その合計額から基礎控除額110万円を差し引きます。
次に、その残りの金額に税率を乗じて税額を計算します。
下記の表は、計算に便利な速算表です。
速算表の利用に当たっては基礎控除額の110万円を差し引いた後の金額を当てはめて計算します。
基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 |
200万円以下 | 10% | - |
300万円以下 | 15% | 10万円 |
400万円以下 | 20% | 25万円 |
600万円以下 | 30% | 65万円 |
1,000万円以下 | 40% | 125万円 |
1,000万円超 | 50% | 225万円 |
(現時点での税率を掲載していますので、改正税率は確認下さい。)
- (例1)贈与財産の価額の合計が500万円の場合
基礎控除後の課税価格 500万円-110万円=390万円
贈与税額の計算 390万円×20%-25万円=53万円 - (例2)贈与財産の価額の合計が2000万円の場合
基礎控除後の課税価格 2000万円-110万円=1890万円
贈与税額の計算 1890万円×50%-225万円=720万円
贈与を使った節税事例
ここでは、具体的な例をあげて相続税の節税法を紹介します。
(例)
財産総額2億円の方に子が2名・孫が4人いたとします。
もし、そのままの状態で相続が発生すると1億2000万円に対し相続税が課税されますので、2200万円の相続税が発生します。
ここで、子2人と孫4人に毎年それぞれ200万円ずつ贈与をすると110万円を越える部分に贈与税が掛かりますので、6人に総額1200万円の贈与をすることで課税される贈与税は、1人9万円ですので、6人で合計54万円になります。
仮に10年間繰り返すと540万円の贈与税は掛かりますが、200万円×6人×10年で1億2000万円の財産移転が済んでいますので、残った遺産の8000万円に対する相続税は0円となり2200万円-540万円=1660万円の節税になります。(税法改正があれば計算は変わってきます。)
節税対策は、遺留分対策と他の様々な方法を考慮する必要がありますので、専門家に相談したほうが安心です。
また、税法の活用だけでなく保険商品でも相続税控除枠を存分に活用するべきかと思います。
相続時精算課税
相続税なんか関係ないよ!という方は、相続時精算課税の選択により2500万円までの贈与であれば贈与税を支払うことなく生前に名義を移すことも可能です。ただし、一旦選択すると暦年課税制度(年間110万円基礎控除)は活用できません。
相続贈与に関係してくる税金
登録免許税
不動産の登記申請時にかかる税金です。
相続時は1000分の4ですが、贈与による場合は1000分の20
譲渡所得税
不動産や有価証券・その他の財産を売却した際、売却代金より取得金額と経費を差引いた金額の20%です。
昔に取得した土地や株などの売却時は、この税金を計算に入れておかないと思わぬ課税がやってきます。
不動産取得税
相続では掛かりませんが、贈与の場合には掛かってきます。細かく特例がありますので確認が必要です。
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